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『「復興」ビジネスと原子力発電の魔性』 インスクエア ビジネスニュース Vol.1232

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■━━━━━━[vol.1232]2017/03/14━━■

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01 ┃ 本日のコラム -
  ┃   『 「復興」ビジネスと原子力発電の魔性 』
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  ┃      / 重村達郎(弁護士)
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3・11の過酷な原発事故から6年が過ぎました。阪神淡路大震
災の時と比べても、原子力による大気・土壌・海洋汚染の問題も
あって、復興のテンポは相当に鈍いようです。

 それどころか、震災復興事業で儲けた一部の建設業者や検査業
者がいる一方で、時間が経てば経つほど元の居住地への帰還は現
実的に困難になり、復興事業自体が故郷を一旦喪失した被災者達
の間に、絆どころか、新たな分断と対立をもたらす結果となって
いる所もあります。
 
 政府は、既に仮設住宅への支援打ち切りへと舵をきっており、
新たな雇用先や有望な新規事業があるわけでもなく、最適解が見
いだし難い中で、先が見えないのが7年目の不都合な真実です。
 
 一方、電力会社は、原発の再稼働を各地で進めている上、総括
原価方式で事故賠償や廃炉費用さえも電力料金に上乗せして対処
しようとしており、国も、現在の事態が国策として原発を推進し
てきた結果であるにもかかわらず、エネルギー政策を抜本的に見
直すどころか、海外に原発を輸出して儲けようというのですから、
本末転倒、原子力村の懲りない面々というべきでしょう。
 
 そんな中で、東芝が、粉飾決算が明るみに出てつまづいたとこ
ろで、米国の原子力事業子会社の買収にからみ、数千億円に上る
損失が予想され、債務超過を恐れて、虎の子の優良事業部門を
次々と手放すなど青息吐息ですが、原子力事業への前のめりが致
命傷になったわけです。
 
 潜在的な核武装への志向があるとはいえ、現在の日本で直接核
にかかわる軍事機密はなく、また、いつでも民生技術の軍事転用
は可能ですから、金融機関や国があげて東芝を救済する技術的、
経済的な理由は乏しいでしょう。かつての優良大企業も,ビジネ
ス的には「終わって」います。
 
 今年の「官製春闘」は、トランプ相場で景気がいいのか悪いの
か、低い賃上げで終わる方向のようです。無論、大手電機業界の
交渉では、シャープや東芝はそれどころではなく、外れています
が。
 
 ものの本によれば、先の大戦でも、玉音放送により事実上戦争
が終結した8月15日の前日まで、東京証券取引所が開かれてい
て、ポツダム宣言受諾と終戦の情報を入手していた有力投資家筋
は、早くも戦後復興に関連する銘柄を買い漁っていて、株価が上
昇していたそうです。
 
 それでも、「敗北を抱きしめて」、国民一丸となって戦後の復興
に取り組んだ時代と現在とが余りにも非対称なことに、ある種の
感慨を覚えます。昭和が遠くなったわけです。

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▼プロフィール:
・氏名:重村達郎(しげむらたつろう)
・ひまわり総合法律事務所 弁護士(大阪弁護士会)
  t-shigemura@himawarilaw.com 
 事務所HP・個人HP 各名前で検索してください
京都大学法学部・経済学部卒
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