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『2040年問題の真実』 インスクエア ビジネスニュース Vol.1350

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■━━━━━━[vol.1350]2017/08/08━■

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01 ┃本日のコラム -
  ┃『 2040年問題の真実 』
━━┃…………………………………………
  ┃     / 重村達郎(弁護士)
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 毎日、暑い日が続いていますね。
今週末からは盆休みですから、あと一息。
日本全体が亜熱帯気候の様相を呈し、もの
すごい量の雨が短時間に集中的に降って、
特に九州各地では、先日の豪雨被害に
輪をかけた災害が心配されます。
 短期的には、災害に強い国土を造り、
人々が安全に暮らせるようにすることが
為政者にとって緊急の課題ですが、
この間の仏による地球温暖化対策の目玉
としての2040年までのガソリン車・
デイーゼル車の販売禁止―電気自動車
(EV)化,2022年までの石炭火力
発電所の停止政策は、今後の生活や環境
にも大きなインパクトがあります。

 ボルボは2019年以降、全てEV、
及びハイブリッド車の販売のみにする
方針を打ち出しており、ドイツの
自動車メーカーも足並みを揃えざるを
得ないでしょう。ハイブリッド車で
当面稼ぎつつ、水素ガスにこだわり、
電気自動車へのシフトでは世界標準
から出遅れている世界のトヨタも、
マツダと組んで、電気自動車の
早急な開発に向けて大きく舵を切ら
ざるを得なくなっています。

 自動車業界には、膨大な関連部品
下請企業群や販売店網があり、
電気自動車が主流になれば、雇用
問題も含めて、かつての時計産業が
精密機械工業から電子工業に変化した
のと同様の事態が起こります。
日本の経済的繁栄を支えてきた
二重構造、社員の勤勉さ、モノ作り
での優位性が弱点にもなりうるのです。

 しかし、日本は、経産省を初めと
して、例によって先送りー既得権益
保護の政策をとり続け(エコカー認定
による税の優遇措置はほとんど
ガソリン車全車種が対象になっています)、
自動車メーカー各社もまたそれに
甘えて電気自動車普及への対応が
遅れてきた事実は否定できません。

そこが民間活力、起業精神が旺盛で、
テスラやグーグルなどの参入を
生み出す米国と違うところです。

 自動車本体価格が高い、電気供給
ステーションが少ない、充電費用
が相対的に高く、時間がかかる、
走行距離が短い・・これでは消費者は
購入を控えてしまいますね。

 技術革新や供給ステーションの
増加がなかなか進まないのは、政府
による旧来の護送船団方式の産業
保護政策によるところが大きいと
いうべきでしょう。仏だって、
現在のガソリン車・デイーゼル車
のシェアは約95%強だそうです
から、日本でもできない事は
ないはずです。
   
 このままでは、第2次世界大戦時
の巨大戦艦建造と同様で、自己革新
が遅れ、肝心の時に身動きが取れ
なくなることは目に見えています。

 携帯電話と同じで、技術革新の
波は、なまじ旧技術が普及してない
方が、一気に加速する可能性があり
ます。中国は、大気汚染がひどい
こともあって、日本より遙かに速い
スピードで電気自動車にシフト
しています。

 ドイツ政府は2040年までに
原発を全て廃炉にするという方針を
打ち出しているのに対し、日本は、
逆に原発を海外に輸出してまで
原子力ムラの延命を図っていますが、
自動車をめぐる2040年問題は、
原発のみならず、産業界,世界
全体を新たなステージへと押し上
げる可能性を秘めており、世界
史的に見れば、産業革命時に
匹敵するものです。

 あと23年、2040年には多分
生きていないでしょうから、本来、
日本が新しい時代に乗り遅れよう
と個人レベルでは知ったことでは
ないのですが、未来の世代に
対する責任として、その道筋を
誤らないように、大きな時代の
転換を心したいものです。

 未来の若い世代が自動車って
ガソリンで動いていたのと言う
時代、ガソリンスタンドが鉱山
と同様、各地で負の産業遺産、
廃墟になる近未来が近づいています。

ついでに自動運転が普及して
運転免許もいらなくなる、
というのはまだ早そうですが。

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▼プロフィール:
・氏名:重村達郎(しげむらたつろう)
・ひまわり総合法律事務所 弁護士(大阪弁護士会)
  t-shigemura@himawarilaw.com 
 事務所HP・個人HP 各名前で検索してください
京都大学法学部・経済学部卒
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