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『稀勢の里の横綱昇進をめぐって』 インスクエア ビジネスニュース Vol.1191

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01 ┃本日のコラム -
  ┃『 稀勢の里の横綱昇進をめぐって 』
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  ┃      / 重村達郎(弁護士)
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 稀勢の里が初優勝し、約20年ぶりの日本人横綱誕生が確定的
になって地元茨城をはじめ湧きたっているようです。起業やビジ
ネスとどう関連するかって?

 いくら相撲が「国技」だからといっても、もともと実力がもの
をいう格闘技で既に国際化している中で、「日本人横綱」にこだわ
る理由がよくわかりません。
   
 しかし、稀勢ノ里はいつも優勝争いの肝心なところで負け、期
待を裏切り続けて来て、30歳を過ぎてようやく初優勝―横綱昇
進を果たしたことで、興味深いコメントが眼につきました。
 
 一つは、愚直とか不器用とは何かを示してくれたという類の見
解です。これは、結果がどうであれ、努力の過程やひたむきな品
性を評価しようとする志向であり、もっといえば、「判官贔屓」の
心情につながるものです。
 
 もう一つは、白鵬が述べたという「強い者が大関になる。横綱
は宿命である(強いだけではなれない)」というコメントです。確
かに、実力があれば大関までは昇進できるが、横綱になれるかど
うかは、その時のライバルの調子や勢い、運など非定型的な人間
くさい要素に左右される、ということですね。
 
 これは、ビジネスの興隆や出世競争などにもあてはまります。
いくらAI(人工知能)が発展しても、最後は人と人との関係で
しかはかれない部分が残り、そこに人間世界の妙味があるとも言
えるわけです。
 
 私は、小さい頃から相撲は好きでした。まだ、自宅にテレビが
なかった時には隣の家に相撲を見せてもらいに行ったり、紙相撲
を作ったり、相撲力士を描いたメンコでよく遊んだ記憶がありま
す。
 
 小学校1年生の時の通信簿のコメント欄にも「相撲が好きであ
る」と書かれているのを後年見たときには少しびっくりしました。
体は小さかったけれども、校庭でも相撲をよくしていましたが。
 
 外国人から見ると、この文明の時代にベルト(まわし)だけし
めて尻丸出しで格闘するスモウに違和感と興味を覚えるのは当然
かもしれませんし、かつて仏の指導者からは「ただのデブのケン
カ」と酷評されたこともありました。 
  
 確かに、横綱による土俵入りや立ち会いー塩まきという儀式性
がなければ、土俵の「神聖」さや「国技」としての格式は生じ得
ません。しかし、これがまたスポーツとしての相撲の限界を規定
することにもなります。
 
 横綱には大関と違って成績が悪くても降格はなく、引退あるの
みで、横綱としての品位を保つためには、複数の横綱がいる時で
も、常時、12,3勝程の成績を残すことが要求されます。
 
 しかし、プロ野球や囲碁・将棋の世界を見てもわかるとおり、同
じプロ同士の闘いでは、勝率6割を上げるのでも大変なことです。
ですから、先代貴乃花らがクンロク大関と揶揄されたり、ガチン
コ横綱の大乃国が8勝7敗で場所を終わったこともありましたが、
それはむしろ、当然かつ健全なのです。
 
 横綱に無理に12,3勝を義務づけると、眼には見えない手抜き
や八百長の誘惑が生じます。従って、土俵入りー横綱制度の呪縛
を解くためには、本来、絶対王者が難しい状況下にあっては、年
間最多勝力士を年間グランドチャンピオンー横綱にしてその者が
翌年の土俵入りを務める、とでもしない限り、抜本的な解決はな
いかもしれません。
 
 親方―相撲部屋制度やタニマチなどの旧いしきたりがある一方
で、外国人力士の日本語習得能力の高さには目を見張りますし、
地方巡業を通した新人スカウト発掘システム,枡席などにみるお
もてなしの実践は、他の業界も見習うべき程です。
 
 たかが相撲、しかし、それはそれでビジネスにとっても面白い
題材を提供してくれています。

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▼プロフィール:
・氏名:重村達郎(しげむらたつろう)
・ひまわり総合法律事務所 弁護士(大阪弁護士会)
  t-shigemura@himawarilaw.com 
 事務所HP・個人HP 各名前で検索してください
京都大学法学部・経済学部卒
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