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『ベンチャーの訴訟』 インスクエア ビジネスニュース Vol.1223

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01 ┃ 本日のコラム -『 ベンチャーの訴訟 』
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  ┃ / 藤田 幹夫(PDBマーケティング株式会社)
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PDBマーケティング藤田です。
今週から金曜日はAPIエコノミー実践記録に拡大して、
活動記録を準リアルタイムでお伝えしてゆきます。
今日は特許侵害をめぐる訴訟がテーマです。

世の中はいろいろな考え、信条、慣習、性格を持った人で
構成されています。
日常生活の中でも金銭貸借=金の貸し借り、暴力行為、だまし、
暴言など様々なトラブルがあります。

暴力行為などいわゆる刑事罰に該当する行為は、国家機関として
警察の管轄で事実関係確認を含めて対応が進みます。
ビジネスの世界での金銭貸借、権利侵害、詐欺まがい行為などは
「民事」として当事者間での解決が求められます。

利害、権利関係も複雑化してくると双方の見解が異なり、簡単には
合意に至りません。
そこで、「出るところに出る」=訴訟となります。
最近目に付くのが、新興ベンチャー間での特許訴訟です。

フィンテック企業として注目を集める家計簿、会計ソフトの
Freeeが、同業ベンチャーマネーフォワード(以下MF)を
特許侵害で訴えました。
「勘定科目の自動仕分」について権利侵害を主張しています。

私はAPI市場創出がテーマですから、両社には関心があり、
会計機能は重複するのですが、両社のサービスを契約しています。
「口座情報の自動取得」と「自動仕分」が共通の訴求点ですが、
姿勢は微妙に異なっています。

Freeeは、最近利用者へAPIを公開しましたが、MFは公開していません。
自社と大手金融機関の閉鎖的な接続のみです。

共に、自社で何ら努力をしない大手金融機関(私見です)などが
競って出資し、それぞれ調達100億円といわれています。
未上場での資金調達金額は確実に大きくなっています。
潤沢な資金で、テレビCMも流れています。

訴訟の争点は、Freeeが特許を取得した「文字列の出現頻度
テーブルによる判別」をMFの「機械学習による判別」が
権利侵害していると主張です。

この動きは、非常に残念です。
大手金融、ファンドからの出資を受けるに際して、独自性を
要求されそのエビデンスとして訴訟に至るということも推察されます。
MF側も、同じような知恵はないが金はある金融、ファンドが
出資ですから、インパクトがありそうです。

類似サービスが競い合うことで、市場が拡大し、結果として
双方がより多くの顧客を獲得する。これが競争社会の原理です。
Freee,MFは勘定奉行、弥生、PCAといった既存パッケージベンダーが
クラウドサービスへ転換しない隙をついて、ユーザを拡大しました。

それぞれの主張はありますが、結果としてこうした訴訟は
少なくとも、市場拡大につながらない。
双方弁護士費用と、訴訟期間の機会損失が発生することとなります。
お互いに譲れないでしょうから、2年、3年かかります。
訴訟費用にも、十分な資金を調達済ということかもしれません。
これも時代の変化?

私が関係した会社の、特許侵害対応は対照的でした。
約20年前になります。
トップ化粧品メーカS堂にOEM出荷していた、入浴剤がありました。
一定の市場形成ができた時点で、OEM契約が解除となり、
少し間をおいて、別の下請け会社に製造させた類似商品が登場です。

原料を、国産米から外米に変えてコストダウンを図っています。
あまりにも露骨ですから、訴訟を検討しましたが断念しました。
製法特許を取得していましたが、相手はトップメーカです。
事前に、裁判対応を想定した抜け道を準備している。
それでも事を構えると、訴訟弁護士の着手金がX千万円。
そんなお金はない。泣き寝入りです。

日本のベンチャーも欧米並みに未上場で100億円の資金を調達。
潤沢な資金でテレビCM、競合つぶしの訴訟ができるようになった。
グローバル化が進展、ということかもしれません。

Freee、MFも弥生からの移行用に、弥生で出力するCSVデータを
取り込む機能はあります。
逆に、CSVでの出力機能はありません。
MFやFreeeから移行するときは、PDFデータから再入力となります。
フィンテック先端企業じゃなかったのか?

口座情報自動取得も、金融側がセキュリティ向上ということで、
ワンタイムパスワードなどで壁が強化されて、使い勝手は悪化です。
訴訟なんかやってないで、やるべきことはたくさんあるはず。

一方で、大切な教訓です。
特許侵害での訴訟を受けるリスクの存在は、意識しておく必要があります。
訴訟して金をとる目的でなく、防衛です。
特許申請、公開まで行うことで、自分の発案であることが証明されます。
期間限定ですが有効です。
これは、数万円の資金と特許申請を記述する努力で達成が可能です。

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▼プロフィール:インスクエアメルマガ編集委員、営業支援担当、起業塾長
・氏名:藤田 幹夫(ふじた・みきお)65歳
・出身:香川県丸亀市
・出身高校/大学:香川県立丸亀高校/京都大学理学部
・役職:PDBマーケティング 代表取締役
 知恵と工夫で、『APIエコノミー』を追求します。
・mail:fujita@p-db-m.com
・経歴:1974年 株式会社日本ビジネスコンサルタント 入社
    1987年 兼(財)データベース白書編集委員2008年廃刊まで
    2009年 PDBマーケティング株式会社代表就任(現在に至る)
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